4thアルバム「Beatles For Sale / ビートルズ・フォー・セール」
1964年12月4日発売。嵐のようなビートルズブームが少し落ち着いてきた頃に、クリスマス商戦のために企画されたアルバム。なのに、ベスト盤とかでお茶を濁さずにちゃんと新録音のアルバムを出すところがなんというか、勢いのあるバンドってすごい。
とはいえ、20世紀最高の作曲チームであるレノン=マッカートニーと言えどもさすがに全曲オリジナルの新曲というわけにはいかず(なんせ前作から発売日ベースで5ヶ月しか開いてない)、14曲中6曲はカバー曲。しかし、このカバー曲のできが良いんだこれが。
4曲目「Rock And Roll Music」はチャック・ベリーのカバー、ここでジョンは自身が最高のロックシンガーのひとりであることを証明している。すげーのひと言。
6曲目「Mr. Moonlight」ドクター・フィールグッド&ジ・インターンズのカバー。ここでも冒頭のジョンの絶叫は唯一無二。
7曲目「Medley:Kansas City - Hey Hey Hey」リトル・リチャードのカバー。ポールもまた百戦錬磨のロックンローラーであることを再認識させてくれる好演。
もちろんオリジナル曲も粒ぞろいで、8曲目「Eight Days A Week」なんかはシングルに切れるキャッチーさがある(実際、アメリカではシングルになった)。ただ、ジョンが自分の内面を歌い始める転換点となった2曲目「I'm A Loser」など、過渡期の印象が残る曲が多いのも事実。これらは次作『Help!』を経て『Rubber Soul』で結実することになる。
というわけで、衝撃的な3rdアルバムに比べるとどうしても地味な印象が残る4thアルバム『Beatles For Sale』は、初期の他のアルバムを聴き終わってから、「他にこんな良い曲もあるのか」的な位置づけでご褒美的に聴くのがオススメ。
【ワタクシが持っている盤】
1987年版のCD(モノラル)、2009年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(モノラル)、2009年版のアナログLP(ステレオ)、2009年版のアナログLP(モノラル)