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8thアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」

1967年6月1日発売。ビートルズのみならず、ロック音楽における最重要作品。大衆音楽であったロックが芸術にまで到達した記念碑。20世紀最大の音楽家・ビートルズが打ち立てた不滅の金字塔。発表から50年を経た今でも最大限の賛辞とともに語られる怪物アルバムである。ビートルズの最高傑作は前作『Revolver』だと考えるワタクシでも、この『Sgt. Peppers』が文化史上大きな存在であることを認めるのにやぶさかではない。とにかく、この作品を抜きにして1960年代の文化を語るのは不可能、それぐらい偉大な作品。

 アルバム全体を架空のブラスバンドのコンサート仕立てにして、一つのまとまった内容として扱うというアイデア自体はどうも後付けくさいが、一部の先鋭的なバンドがすでに試み始めていた手法をビートルズのように影響力のあるバンドが採用したことによって「コンセプト・アルバム」という新たな概念が理解されるようになり、ポピュラーミュージックに大きな変革が起こった。その画期となったアルバムと考えると、これが果たした役割はどれだけ評価してもしすぎるということはない。

 個々の楽曲が弱いのでワタクシはビートルズの最高傑作としては推さないが、「トータル・アルバムというのはアルバム全体が一つの曲だ」と考えればこれほど強力なものはないわけで、聴くときはぜひ全曲通して聴いてほしい。それだけの時間を割く価値のあるアルバムである。
 なお、楽曲が弱いというものの、1曲だけ突出して強烈な曲がある。ラストの「A Day In The Life」がそれで、程よく力が抜けたジョンのボーカルと大仰なオーケストラサウンド、そして変幻自在のリンゴのドラム、最後の強烈な和音。このアルバムのほかの曲はすべてこの曲のための前奏曲だったのではないかと思えるぐらいの存在感で迫ってくる大曲である。

【ワタクシが持っている盤】
1987年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(モノラル)、2009年版のアナログLP(ステレオ)、2009年版のアナログLP(モノラル)、2017年版のスーパーデラックス・エディション

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