top of page

10thアルバム「The Beatles / ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」

 1968年11月22日発売。ビートルズのオリジナルアルバム中、唯一の2枚組。全30曲のボリュームを誇る大作アルバム。・・・と書くと重たそうに聞こえるかもしれないが、実際にはいろんな音楽のごたまぜ。軽い曲からヘヴィな曲、きっつい前衛音楽まで、本当にひとつのバンドのアルバムなのかと疑いたくなるぐらいに揺れ幅の大きい、音楽玉手箱。初めて聴いたときの「次にどんな曲がかかるのか」というワクワク感は今でも鮮明だ。ビートルズ初心者にもオススメしたいアルバム。

 全体的な曲の感じを説明しようとすると全曲を一つ一つ説明しなくてはならないぐらい、収録曲の方向性は全くバラバラなのだが、あえて言えばバンドサウンドへの回帰。前3作の凝りに凝りまくったアレンジからガラッと変わって、「せーの!」でやったようなシンプルな曲が多いので聴きやすい。そんななかで一方に「Ob-La-Di, Ob-La-Da」「Honey Pie」があり、一方に「Revolution 9」みたいな曲があるという具合で、極右から極左まで本当にとんでもないアルバムである。

 ジョージの傑作「While My Guitar Gently Weeps」でエリック・クラプトンがリードギターを担当している。超絶テクの披露では無くて、ゆったりとした「泣きのギター」の演奏になっているのがニクい。ビートルズのアルバムで、ビートルズ自身が弾ける楽器を(いくらクラプトンとは言え)外部ミュージシャンに任せるのは非常に珍しい。

このアルバムが発売される少し前(8月30日)に出たシングル「ヘイ・ジュード」はビートルズ最大のヒットとなっており、続けて出したのがこの2枚組、と、1968年のビートルズは最も創造的な時期だったのではないかと思う。各メンバーがそれぞれソロで録音したような曲も多いんだけど、そんなんでいいからバンドを続けてくれていたら、この後の音楽史は全く違ってたんだろう。しかし、現実にはバンドはこのアルバム発表の後に「ゲット・バック・セッション」と呼ばれる最悪のレコーディングを行った結果、人間関係に修復不可能な亀裂を生じて解散してしまうのである。

【ワタクシが持っている盤】
1987年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(モノラル)、2009年版のアナログLP(ステレオ)、2009年版のアナログLP(モノラル)

bottom of page