top of page

12thアルバム「Abbey Road / アビー・ロード」

1969年9月26日発売。発売順は逆になったが、次の『Let It Be』よりも後に録音が行われたので、実質上のラストアルバムである。散々な結果に終わった「ゲット・バック・セッション」のあと、ポールの呼びかけで「ちゃんとしたアルバムを作ろう」と再集結した4人が、「多分、これで最後になるだろう」という予感のもと不思議なチームワークを発揮した結果、とんでもない傑作が出来上がった。いや、傑作という言葉じゃ足りない。これぞまさしく「ビートルズのラストアルバム」。

 よく言われるように、このアルバムではジョージの躍進ぶりがすごい。「Something」「Here Comes The Sun」という名曲2曲を提供し、ギタープレイも安定、さらには当時まだ珍しかったモーグ・シンセサイザーを導入したのもジョージ。このアルバムの後、ジョンはヨーコとの平和運動にのめりこみ、ポールはビートルズ解散のショックからなかなか立ち直れず中途半端なソロ作ばかり出すことになってしまうが、ジョージは3枚組の大作『All Things Must Pass』でいちはやく音楽的成功を収めることになる。

 A面にも重要な曲が多いが、やはり圧巻はB面のメドレーだろう。短い曲が次々と提示されて息つく間もないぐらい。最後の「The End」における4人それぞれのソロ・パートのあとの感動的なフィナーレ・・・で終わらないのがやはりビートルズで、20秒ほどの無音の後に23秒だけの珍曲「Her Majesty」が入ってしかも途中でブツっとおわる。「えっ!」と思うがこれで終わり。なんと粋な・・・

 4人が本気を出せばこれぐらいのアルバムは、すぐに、かどうかは知らないが、できてしまうのだ。でも、もう4人でやりたくないから、これを最後にビートルズは解散してしまった。このアルバムのセッションの後、4人が楽器をもって揃ったことは一度もない(法律上の手続きなんかで集まったことはあるらしいが)。各人のソロにそれぞれで参加しあったりはしてるけど、4人で揃って演奏したことはない。
そんな状態のまま、1980年12月8日、ジョンが凶弾に倒れて、ビートルズの再結成は絶対にありえない話になってしまう。

 

 アルバムタイトルの「アビー・ロード」とは、ビートルズがレコーディングの拠点としたEMIのスタジオが面している通りの名前。それにちなんでこのスタジオは「アビー・ロード・スタジオ」と呼ばれる。横断歩道を渡って4人が歩いているけど、これ、スタジオから出ていく方向に向かってるんだよね。このアルバムが実質のラストだということを考え合わせると何とも味わい深いジャケット写真。

【ワタクシが持っている盤】
アナログLP(1995年アメリカ・プレス)、1987年版のCD(ステレオ)、2009年版のCD(ステレオ)、2009年版のアナログLP(ステレオ)

bottom of page