5thアルバム「Houses of the Holy / 聖なる館」
1973年3月28日発売。前作『IV』は誰がどう見ても大傑作だったわけだが、あれの次は作りにくいだろうな、というのは誰もが思うところ。ところがそれは凡人の杞憂であったということを、ものの見事に証明して見せた5thアルバム。
まずは1曲目の出だしが完璧。待望のアルバムをワクワクしながら聴いてるであろうリスナーを、ちゃんと期待通りにわくわくさせてくれる出だし。これ以上のオープニングはなかなかないだろう。
レゲエビートの「デジャ・メイク・ハー」、ファンクビートの「ザ・クランジ」など、今までのアルバムにはない新機軸が次々と導入されていて、一聴しただけで意欲作とわかる。「レイン・ソング」「丘の向こうに」なんかは『III』の路線をさらに発展させたもの。そしてラスト前の大名曲「ノー・クオーター」にとどめを刺される。この神秘的な雰囲気はそこら辺のロックバンドには出せない。ジャズっぽいギターソロも素晴らしい。
正直に言うと、高校生の頃はこのアルバムの良さがわからなかったんだよなー。激しい曲がないし、「どブルース」っていう曲もないし。すごく余裕のあるアルバム、っていう感じがして、リアルタイムで聴いてたら「あ、ツェッペリンはもうハードロックじゃないんだな」と思ってひどく落胆してたかもしれない。しかし、このアルバムで切り開いたあたらしい境地が、次の2枚組6thアルバム『フィジカル・グラフィティ』では旧来のハード路線と見事にまじりあうのである。やっぱりすごすぎるバンドだ、レッド・ツェッペリン。
収録曲
A-1 永遠の詩 The Song Remains the Same
A-2 レイン・ソング - The Rain Song
A-3 丘のむこうに - Over the Hills and Far Away
A-4 クランジ - The Crunge
B-1 ダンシング・デイズ - Dancing Days
B-2 デジャ・メイク・ハー - D'yer Mak'er
B-3 ノー・クォーター - No Quarter
B-4 オーシャン - The Ocean