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シャルル・デュトワがモントリオール交響楽団を指揮して1980年代後半に録音したストラヴィンスキーのバレエ音楽三部作は、優秀録音で有名。ジャケットは左から「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」。「春の祭典」だけは学生の頃から持ってたけど、今回、3枚ともそろえたので一気に聴く。
この3曲から(特に「春の祭典」から)現代音楽の歴史が始まった、といわれるほどの衝撃的な音楽で、オーケストラの技巧とパワーの両方が求められる難曲ぞろい。それでいて、聴きにくいわけではなく、聴衆も巻き込んでぐいぐいと盛り上がっていく原始的で熱狂的なリズムは、ストラヴィンスキー独特のものだ。
デュトワ&モントリオール響のコンビはフランス音楽のスペシャリストとして有名だったが、フランス音楽とは対極にあるような、野蛮で荒々しいストラヴィンスキーでも実にいい。不協和音が、単なる耳障りな音響ではなく、ちゃんとした音楽として鳴ってるのが素晴らしい。
僕の愛聴盤、リッカルド・シャイーが指揮したクリーヴランド管弦楽団のものは、シャープなリズムと、スピーカーが壊れそうになるのを心配しなければならないほどの爆裂低音が魅力なんだけども、デュトワのものは野蛮さを残しつつも美しい音響に仕上げてあって、これはこれで時々聴きたくなる演奏。
Youtubeに伝説の天才ダンサー、ニジンスキーが振り付けたバージョン(復元版)のバレエ「春の祭典」の映像があったので貼り付けとく。いけにえの少女の引きつった表情が怖すぎ。ロシアにキリスト教が伝わる前の原始宗教におけるいけにえの儀式を描いた、というショッキングな内容もさることながら、普通の和音やリズム処理を全く無視した斬新な管弦楽も、全く優美とは言えない踊りも、それぞれ強烈。初演のときに観客がブーイングを挙げて大騒ぎになったという逸話が残ってるのも納得できようものだ。
(長い曲なので、3分割のうちの最後の部分だけ)