2021年、明けましておめでとうございます。例年の通り年賀状に何も書いてないので、こちらで近況報告など。
2020年はすべての人にとって大変な一年だったのでしょうが、そもそも年明けから激変の年になる予定だった私にとっては、まあ受け入れ可能な変化だったと思います。4月・5月の学校休校期間中も腐らずに毎日適度に運動などもしながら健康に乗り切れました。ステイホームしながら、これまで買っただけで聴いていなかったCDやレコードを聴きまくることが出来、充実していたともいえます。まあ、ラッキーだったんでしょう。
で、現在の私の社会的立場について報告します。
「高等学校講師(非常勤)」の肩書きは継続中ですが、塾の仕事は2020年いっぱいで完全に終了します。2019年度で大まかには終えていたのですが、高3生の希望者のみ自宅で英語と国語を教えていたのが、とうとう終わりです(正確にはこの1月にも授業はするけどアフターサービスみたいなもんなので)。
2009年の頭に頼まれ仕事で始めた塾稼業ですが、錆び付いてた英語力も受験生に教えるなかで復活したし、国語の授業の準備で様々な評論に毎週触れたのは大きな知的刺激となりました。東洋史が専門なので漢文も大学でよく読んでいたから、受験レベルで教えるのも苦では無く、人生、どこで何が役立つか分からないなと思います。漢文の訓読の技術が仕事に役立つ日が来るなんて。
思うに、英語も国語も私にとっては「専門外」であったことが良かったのかもしれないな、と。初期の生徒にKという男子がいて、非常に成績優秀な生徒だったんだけど、このKが「西内先生の良いところは、間違ったところは『ごめん、間違えた』ってすぐに言うところ。」と言ってくれたことがあって、これはその後もそのままでありたいと気をつけていた点。専門家では無いので、変なプライドが無く、間違いを認めるのが恥ずかしくない、そういうメンタリティ。あと、学校での教え方を知らない故にひねり出した、「自分が頭の中でどう組み立てて考えているか」を図式化するちょっと変わった教え方(授業では「ダイアグラム」と呼んでたやつ)。これが後に生徒たちから「ニシウチ式」と呼ばれることになる一連の独特な読解法を編み出す力になったのかもしれません。
せっかく評判良いのにもったいないといってくれる人も多いのですが、惜しまれつつ、ぐらいがちょうど良いかと。
次に、2021年4月より、南あわじ市消防団榎列地区専任分団長を拝命することとなりました。軍隊の組織で言えば中隊長~大隊長ぐらいのポストになり、責任重大です。なにより、地域住民の生命と財産を守る仕事であり、南海地震の発生が近いうちに予測されている中で身が引き締まる思いです。とはいえ、消防団をいったん卒業したあとのブランクがあるので、しばらくは様子見しながらかなあ。厳しい専任って嫌われるからねえ。まあ、勇ましいことをいってるけれども、任期中に南海地震が来ないように内心祈っているのも正直なところです。
高校の講師の仕事は1年ずつの契約なので、勤務校の都合次第でいつ無くなるか分からないんだけども、そんなこんなでこの3月で14年やったことになります。最初に行き始めたときは1年だけのつもりだったのが、やってみたらそれなりに面白く、「来年度も来てください」「喜んで」の繰り返しで14年。2021年度も話が来るかどうかはまだ白紙だけど、話が来たら15年目をやってみるつもりです。
主に世界史を担当していたのが、ここ数年は日本史を担当する機会が増え、今まであまり関心を持っていなかった地元の歴史を勉強し直しているところです。2020年は庚午事変(稲田騒動)から150年ということで珍しい資料・史料などを見ることも多く、勉強になった一年でした。こういうのも、学校に勤務している恩恵。
ただ、正直言うと世界史を教えてる方が楽しいね。話がでかいから。未来ある高校生たちの前ででかい話をする。最高じゃないですか。どこのクラスでも、眠たそうにノートを取る生徒たちに混じって、一人か二人、目をきらきらさせながら授業を受けてくれる生徒がいる。世界史教師の醍醐味です。2020年度は週16時間担当のうち14時間が日本史で、世界史は2時間だけ(しかも「世界史A」)。日本史の授業も本気でやってますが、そして「でかい日本史」を教えるよう心がけていますが、私の真価は世界史の授業でこそ発揮できると自分では思っています。
数年前から興味を持って関連書籍を読みあさっていたソ連史について。
2020年の新書大賞を取ったことでご存じの方も多いだろう、岩波新書の『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木 毅・著)が評判通りのとんでもない力作でした。ファシズムと共産主義が正面からぶつかり合ったこの戦争を「世界観戦争」と位置づけ、第二次世界大戦の他の方面戦争(アジア太平洋戦線、ヨーロッパ西部戦線、アフリカ北部戦線など)に比べて桁違いの犠牲者をうんだ理由を掘り下げていく。久々に、わくわくしながら読み進めた新書です。
なんか最近、新書を読むときは「必要な知識をさらっと導入するために読む」みたいな感じになっちゃってたので、どっぷりとディープな読書経験が出来て良かったけど、書かれてる内容の壮絶さに、人類のすべての努力が行き着いた先がこれだったのかと思うと、読後にはものすごい虚脱感と徒労感がありました。
まあ、そんなこんなで2021年も頑張りますよ。
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