6年ぶりの最新刊。日本SF文学が誇る長寿人気シリーズである「エマノン」シリーズ(作:梶尾真治)を、寡作をもって知られる孤高のマンガ家・鶴田謙二がマンガ化するこの企画。最初の単行本『おもいでエマノン』から12年でようやく4冊目の単行本が刊行。
前作の『續さすらいエマノン』から6年のインターバルが開いた。しかし相変わらず美麗な手書きの画面は他の追随を許さない完成度。思うに、鶴田謙二のファンというのは、話の続きを読みたいというよりはこの美しい画面を見たいからファンを続けているわけで、どれだけ間が開いても続巻を心待ちにしてしまうのだろう。アシスタントを入れて早く原稿を挙げて刊行ペースを早めてくれ、とは絶対に思ってはいけないのである。
生命が誕生してから現在までの35億年の「生命の記憶」全てを宿して不思議な転生を続けながら永遠の時間を生きる少女エマノンの物語、なにしろ35億年分の過去と、おそらくは永遠に近い未来とを背負った物語であるから、どこがクライマックスでどこが終わりというのもない。作中でエマノンが述べるとおり、数時間も数十年間も同じこと、どちらも彼女にとっては刹那の出来事。「みんな変わってしまう。みんな去ってしまう。」
今巻では先代のエマノンが死の直前に記憶を取り戻すという奇跡が描かれ、感動的。
最後、醜悪な高校教師「ツチノコ」との再会シーンで幕切れ、「to be continued...」となってるけど次巻を手に取るのはいつのことになるのやら。