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Writer's picture大 西内

コーネリアス『Mellow Waves』


 ここ数か月の間に買ったLPレコードのことをまた少し。

 小山田圭吾ことコーネリアスの11年ぶりの新作アルバムをアナログLPレコードで購入。11年ぶりとはいえ、その間にもNHK-Eテレの「デザインあ」の音楽監修、METAFIVEをはじめとするバンドのメンバーとしての活動など、小山田君の音楽自体はあちこちで耳にしていたので、11年ぶりと聞いて驚いた。そんなに間が空いていたとは。

 小山田君の音楽を初めて聴いたのは1990年、まだ彼がフリッパーズ・ギターに在籍していたころで、シングルの『カメラ!カメラ!カメラ!』とアルバム『カメラ・トーク』が音楽好きの間で話題になってた頃。そのころ僕は大学生、僕よりも2つ年上の人たちが創り出すオシャレでハイセンスな音楽に、「これこそが僕たちの世代の音楽だ!」と大感激していたのを思い出す。

「カメラ!カメラ!カメラ!」MV 帽子をかぶってるのが小山田君

 ところがフリッパーズは翌年に大傑作アルバム『ヘッド博士の世界塔』を発表後に空中分解のように解散。ソロになった小山田君が名乗ったのが「コーネリアス」という名義。この名前で彼は1994年の『ファースト・クエスチョン・アワード』を世に問い、「完璧なポップスとはこういう風に作るんだぜ」とばかりに1作目からものすごいアルバムを出してきた。

 そのあとは『69/96』でハードロック/ヘヴィーメタルの現代的解釈、『ファンタズマ』でぎゅうぎゅうに音を詰め込んだ音楽玉手箱、と、アルバムごとに目まぐるしくそのスタイルを変えてきた。そして2001年の『Point』、2006年の『Sensuous』では、もはやメロディーやリズムは第一ではなく、音色や音圧、音場のほうに彼の興味が移ってるのがわかるような作品となった。しかし、実験的なのに非常にポップという魔術のようなバランスの上に成り立ってる作品群に、僕はいつもうならされてきた、やっぱり小山田君は最高、と。

 そして今回の11年ぶりの新作はというと、これがまあ非常に内省的でタイトル通りにメロウなアルバムになった。小山田君のいつもの甘い声がやさしく歌いかけてくる。ああ、天国とはここのことか。前2作での実験の結果は、とうとうこの音にたどり着いたんだなあ。本当に素晴らしい。誰がどう見ても最高傑作アルバム。聴けば聴くほど味が出る。このアルバムをリアルタイムで聴けた喜び。

「夢の中で」MV

「あなたがいるなら」MV


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